合気道ファシリテーションのススメ


プロセス・ファシリテーション・プロジェクトのクローズドクラス3期、3回目のクラスは本郷東大の近くで1泊の合宿だった。


初日の土曜日まさかの寝坊。
この慢性睡眠不足生活の割には3年に1回くらいしか寝坊しないのだが、この日は起きたら9:30。(講座開始10:00)
6時起床予定を3時間半オーバーという、あり得ない寝坊。
たぶん、前夜気合い入れすぎて、目覚まし時計のスイッチを2回いじったのだと思う。(ONにして、OFFにした)
朝ご飯を食べるスタバの場所まで決めていた(笑)のにガッカリ。
そんな訳で、遅れて参加したのだが、割とのんびりペースで開始していた模様で傷は浅かった。


初日昼は、身体をほぐすワークをやった後に『子供の頃の夢』ワークであった。


…子供の頃の記憶があまり(かなり)無いので困ったなーと思っていたが「子供の頃、繰り返し見ていた夢。例えば熱を出した時など」という説明。
ならば熱を出したときの夢については強烈に覚えているので大丈夫。


1つ目は、ガススタンドと車の夢。
(幼稚園〜小学校に住んでいた)横浜山手近辺のどこかという設定で、夕闇のような薄暗い背景の中に、屋根もないスタンドがぽつんと一つ。
その静止画面に、左側から1台の車(色は白か銀などの薄い色、箱形のセダン)が走ってきて、画面中央スタンドの前の道路で停止する。
ガススタンドにも、車の中にも人影はない。
…それだけの夢なのだが、これが熱を出すと必ず見て、しかも私の中ではこれが「大変怖い夢」「悪夢」という認識。
子供の時でさえ、起きている時に思い出してみても、何が怖いのかさっぱりわからないので「夢の中でだけ怖い夢」という面白い位置を保っていた。
残念ながら、この夢はいつのころからか熱を出しても見なくなった。高校生くらいまでは見ていたんだけど。


2つ目は、カード(トランプ)の夢。
これも熱を出すと見るのだが、画面一杯に無数のトランプがバラバラに落ちている。絵札は無くて、全て数字札である。
それが一枚、ぶわっと浮き上がって目の前に迫ってくる。
その一枚が後ろに下がると同時に、別の一枚がぶわっと迫ってくる。
次々と、エンドレスにこれが続く。既に熱を出しているというのに、更に目が回るような気持ちの悪い夢。
こっちの夢は大人になってからも熱を出すと見ている。最近は熱を出さないので今も見るかどうかはわからないけれど。


そんな夢をワークしてみた…が、結局そこからは気付きとか発見はさっぱり無かった。今後の課題ということで積み残し。


夕方〜夜はグループプロセスワークを実践。
「浮気」がとりかかりのトピックだったのだが、この問題について自分の思い入れというか意見が特に無いので傍観者に徹する。
ホットスポットが何度も起きて、それなりにエッジに辿り着いたワークであった。


2日目は身体ほぐしの後でプロセスワーク2個目。


まだ訓練中だし他にも体験していない人が沢山いるのに、またファシリテータを引き受けてしまった。
トピック出しの辺りから既にプロセスが始まったような、ちょっと熱くなっている場で。
ファシリテータを引き受けるつもりは微塵も無かったのに、トレーナーが「この炎の中に座りたいと言う方いらっしゃいますか?」なんて訊ねるものだから、思いっきり「ハイ!!」と手を挙げてしまった。
だって炎の中には座ってみたいジャン(笑)。


一応お昼前にそのプロセスは終了し、クラスメンバーの交流というか衝突というかは促進することができた。
2010年1月の一般開放クラスでファシリテータを体験してみたことがあったが、明らかに当時と比べたらマシになった実感がある。
プロセスを見ていて「ここだ!ここで何かすると良いのだ!」と感じることができたのが大きな違い。
「何をするか」は、ちっともわからないことが問題だが(笑)。


実は、この感覚に似た経験をよくしている。


通っている道場の合気道の稽古では、最後に「気を送る/気を感じる」稽古がある。
2人1組になって道場の中を歩き回るのだが、前を歩く人は後ろの人の気を感じて右や左に曲がる。後ろから歩く人は「ここで右に/左に曲がれ」という気を送る。という練習である。
これを見学者として見ていたこともあるのだが、面白いほどちゃんと伝わっている。
つまり後ろの人がふっと手を振ったりすると、前の人がぴょこんと向きを変えるのだ。


送り手をやってみたところ少しコツがあるみたいで、送る側が焦っていたり、ぼんやりしていて中途半端な気持ちで居ると伝わらない。
明確に「ここはまっすぐ」「ここで右!」「左曲がれ!」って思うと、ちゃんと伝わる。


私はまだヒヨッコなので、受け手としての出来が悪い。
最初の数回なんて、何を感じれば良いのかさっぱりわからなかったし、ここかな?と思って曲がると全然違っててぐいっと直された。
(意図通りに曲がらないときは肩を掴んで直すことになってる)
最近ようやく少しわかるようになってきた。
「ここだ!今ここで曲がらせようとしてる!」ってのがわかるようになったのだ。スゴイぞ私!
が、まだ方向の精度が50%くらい(笑)。
2回に1回は反対方向に曲がってしまい、ぐいっと肩を掴んで直されている。


プロセスワークのファシリテータをやっていて感じたのが、まさしくまだ50%間違えるこの稽古の時と同じ感触(笑)。


プロセスのネタは、前回2回目クラスでも発生した「声なき声。切り捨てられる意見。相手にして貰えないもどかしさ」の問題。
以前の私だったら
「またこのネタか?何回やれば気が済むの?もしかして毎回これ繰り返すんじゃないの?いい加減先に進もうよ、先に」
って、考えたんじゃないかと思う。


が、もうそういう考えは浮かんでこなかった。
目の前で起きていること、または起きていないこと、全て含んだ「この瞬間」に真剣勝負で集中することができた。
自分の下手な考えはクリアにニュートラルにして、場と登場人物と事象に全身全霊を捧げる感じ。
そしたらプロセスがよく見えるようになって、タイミングを感じ取ることができるようになったみたい。


自分がこんな風に変わっていたことに気付いていなかったので、とても嬉しかった。
合気道の稽古、MBTウォーキング、シータ・ヒーリングの瞑想、これら全部ファシリテーション訓練にすごく役立ってるんじゃないか?もしかして。
きっとスキーも昨年より上達してるぞ。わくわく。
この調子でもっと身体感覚を研ぎ澄ませよう。


合宿の最後に15分くらいのプロセスワークをもう一つ。
ネタは15分でプロセスワークが成立するかどうか、するという意見と、しないという意見の対立。
この時は、殆ど全員が2つの対立するロールの両方にそれぞれ入ってみるという実験になった。
私も試しに両方のロールを演じてみたのだが、ネタが分かりやすかったせいか、初めて上手に(?)ロールを演じることができた。
「だから年寄りは勃たないんだよ!!」
なんて、思ってもみない台詞が突然口をついたりして、ロールが降りてくるってこういう事かとビックリした。


ちなみに、結果として「プロセスワークが15分で成立するかどうかが問題じゃない。瞬間瞬間を大切に扱っていきたいんだ」というメタ意見が出てきて収束。
15分でも成立するんジャン(笑)。


ファシリテータ体験もロール体験もできて、大満足の3期3回目のクラスであった。
東大正門近くの定食屋やインドカレー屋も美味しかった。