雨上がり。
霧に包まれた公園。


白く滲む街灯のライトを切り分けて、黙って立ちつくしている木々達のシルエットが浮かび上がっている。
遊歩道のタイルが黒々と、やけに艶っぽく光っている。


すぐそこで車の往来が激しいのに、人は誰も居ない。
グラリと視界が揺れたような気がした。


これはまるで夢の中みたいじゃないか。
目を覚ましたまま、夢の世界に迷い込んでしまったみたいだ。


深く息を吸い込むと、濃厚な夜の空気が隅々までしみ渡った。
いつまでもどこまでも歩いていきたくなる、春の宵。