赤坂見附「ラ・プラティア (La Platea)」パスタ

事務所が赤坂見附に移ってから「二度と同じ店には入らない」俺ルールを貫いている。
といっても、夕飯を食べる暇なくミーティングにすっとんでいくか、帰宅して軽く済ませてしまう今日この頃、折角の赤坂勤務なのに新規開拓が進まないのだけど。


今日は親子丼気分だったのだが、あの美味い親子丼の店「愛宕」はこの間入ってしまったので俺ルール違反。
仕方ないのでパスタの店(あと2軒で近隣コンプリート)に行くことにした。


で、表題の店。
結局味はそこそこで、不味くは無いんだけど、なんか色んな味がちぐはぐで「美味い」域に達してなかったし、南欧料理っぽいのにBGMがアメリカンオールドポップスで耳障り。
俺ルール外してもリピは無いな…と思って「お会計」を頼んだのだが。
会計済ませて出てくる寸前に店主(っつーか店主一人でやってるカウンターの店なんだけど)に
「もしご縁があってもう一度ご来店下さることがありましたら、『読み物』はご遠慮下さい」
って言われたのだ。


『読み物ご遠慮ください』!?
何のことだか目が点になった。


いや、もちろん言われた意味はわかる。
今日読んでいたのはホームレス支援の雑誌「THE BIG ISSUE 115号」。
ホームレス支援というコンセプトよりも、硬軟とりまぜた読み応えのある内容で、最近お気に入りの雑誌である。


115号の特集は「生きのびる」で、減る傾向の見えない日本の自死問題を取り扱っていた。
なんか琴線に触れてしまって「次に私が取り組みたいのはこの問題だ」って感動しながら読んでいた。


そこに。
『読み物ご遠慮ください』?
日本でも海外でも、どのレストランにも、居酒屋にも、カウンターバーにも一人でふらっと入って、何か読みながら食事をする習慣のある私だが、そんなこと言われたのは生まれて初めてだゾ?
かなり衝撃的。


これで私が新聞を大きく広げていたとか、派手なヌード写真雑誌見てたとか、周囲から見て明らかに雰囲気にそぐわないならまだしも、社会問題を扱ってるインテリジェントな小冊子を読んでいることの何が問題なんだろう?
すまなさそうに何度も「小さな店なので」と繰り返していたが、意味がわからない。
八重洲のインド料理屋で『リラックスしたOFFの雰囲気を大切にしているので、PCご利用はご遠慮下さい』と言われ、納得してPCをすぐしまったことのある私だが。
いやぁ世の中色んな価値観があるものだな。


読み物ダメなら、いつ見てもがら空きの、カウンターに7席程度しかない店で、ビールとワイン飲んで、サラダとパスタ食べていた1時間半ほどの時間を、私にどうやって過ごせって言うんだろうか。
あの、コダワリが一人歩きしている感じの店主と、楽しく会話しろってことなんだろうか?
それともつまり「お一人様ご遠慮下さい」なのか?


またせめて、そういうことは私が雑誌を取りだした時点で言って欲しい。
したら「注文取り消します」って言って出ていく選択肢もあったのに。
後出しじゃんけんは卑怯だろ。


何より。
美味い料理と酒と会話で、私に脇に置いた雑誌を取り上げさせない店だってある。
『ご遠慮下さい』と口で言わずに、遠慮させてみろ。