硫黄島からの手紙 80点

父親達の星条旗』に続く、クリント・イーストウッド監督の硫黄島2部作目ということで、当然見に行ったとも。


期待通りの真面目な作り。制作スタッフが米国人なのに全編日本語で作られているのも、それだけスタッフの熱意を感じた。
相変わらずクールで熱いイーストウッド節のエピソードやストーリーが盛りだくさんで満足。


演じた役者さんも、皆なかなか良かった。渡辺謙二宮和也伊原剛志が特に良かった。
私は邦画や日本の役者・ドラマの「私はただ今、全身全霊でこの役を演じております」的な、劇団チックな演技が大嫌いで、だから好きな邦画も限られてしまう。
私が期待するのは、物語を聴く・見ることであって、別に役者の演技が見たいわけではないのだ。
『父親達』では、役者達が自然な呼吸で演じているという感じで、物語に集中しやすかった。
劇場パンフレットに載っていたインタビューによれば、イーストウッド監督は「アクション」とは言わずに、静かにキューを出すので、いつの間にか本番に入っているとか、雰囲気が穏やかで気の置けない存在だったとか。
その監督スタイルが、役者達から自然な演技を引き出したのだとしたら。
邦画の監督達にはもっと考えて欲しいものだ。


しかし、ポール・ハギス、ちょっと脚本乱作ぎみ?というのが今日の一番の印象。
硫黄島』も良かったんだけれど、もうちょっと踏み込んだり、整理したり、丁寧に描いたりすると、もっともっと良くなったんじゃないか思う。